第32回 関節の話


 

関節はコラーゲンとプロテオグリカンというアミノ糖で出来ていますから、
その材料を適宜補充していく必要があります。
 
もちろん若い頃はコラーゲンもプロテオグリカンも体内でどんどんと合成されていきますので、
破壊と再生のバランスがしっかりととれていて問題ありません。
しかし、加齢と共にこのバランスが崩れてしまい、やがて痛みを伴うまでになってしまうのです。
 
その関節の主成分は、コラーゲンペプチドとグルコサミンと言えます。
 
グルコサミンが基礎の材料となって、
プロテオグリカンの成分であるヒアルロン酸やコンドロイチンが作られていきますから、
やはりグルコサミンは外せない材料と言えます。
 
人を使った試験も多数行われていてその信憑性も高い成分です。
一日の有効推量量は1,500mgなので、日々この量を摂取するようにします。
 
ちなみに現在では、グルコサミンの代謝物であるN-アセチルグルコサミンも食品として使うことが出来るので、
N-アセチルグルコサミンの摂取も効果的です。
 
この場合は、一日の有効推奨量が500mgですので、より少ない量で効果があります。
またコラーゲンに関しては、一日の有効推奨量は3,000mgなので、
関節軟骨の材料としてこの二つを摂取するといいでしょう。
 
他にコンドロイチンや、コラーゲンの生成の役立つビタミンCなども補助素材としては効果的です。  
このように関節の成分を補充するということはとても大切ですが、
痛みをすぐに取るということはなかなかうまくいきません。
 
そもそも関節軟骨の破壊に再生が追いつかなくなる原因については、
いまだ幾つかの仮説があって、絶対的な原因は解明されていません。
 
1.軟骨組織に異変がおきて、軟骨内の成分バランスが崩れてしまった。
2.軟骨内にある古くなったコラーゲンやプロテオグリカンを分解する酵素が暴走し始めた。
3.軟骨下骨の損傷があると、その損傷を埋め合わせるために骨成分が生成され、それが凹凸となって損傷につながる。
4.骨の疾患。
5.肝機能の問題。
 
などが主な仮説です。
 
そこで関節軟骨の成分とは別に、炎症自体を抑える成分にも注目がいきます。
代表的なものでいえばMSMや免疫ミルクなどで、関節系のサプリメントに配合されていたりもします。
 
そんな中、私が今注目している素材が、『非変性Ⅱ型コラーゲン』です。
 
これは単に関節軟骨の材料として効果があるのではなく、
ある種の?シグナルペプチド?として関節軟骨の破壊を止める役割が期待されているのです。
 
コラーゲンには20種類ほどのタイプがあって、
有名なのがⅠ型と呼ばれる皮膚のコラーゲンとⅡ型と呼ばれる軟骨からのコラーゲンです。
よく店頭でもⅡ型コラーゲンとして売られているサプリメントがあります。
 
確かに同じコラーゲンでも、そのアミノ酸組成には違いがあって、
関節軟骨の材料とするのであればⅡ型コラーゲンの方がよりその組成が近いという点は理解できます。
 
しかし、Ⅰ型であってもⅡ型であっても、
基本的には一旦はアミノ酸にまで分解されてから吸収されていきますので、
実はそれほど大きな差が生まれてこないのです。
 
私たちの体は約60%が水分で、15〜20%がタンパク質です。
つまり水分を除けば、体の半分近くはタンパク質で出来ています。
そのタンパク質の中の約30%がコラーゲンで、皮膚に40%、骨に20%ほどの配分となります。
 
それほどコラーゲンというタンパク質は体の中でたくさん利用されているのですが、
そのコラーゲンはアミノ酸組成が極端なタンパク質でして、
グリシンだけでその1/3を占めていて、プロリン(ヒドロキシプロリン)、アラニンで1/3を占めていますから、
全体の2/3を3(4)種類のアミノ酸で構成しています。
 
つまり、アミノ酸組成としては至ってバランスのよくないタンパク質なのです。
 
非変性Ⅱ型コラーゲンとは、その名称の通りⅡ型コラーゲンではあるものの、
体内にある構造とほぼ同じ状態のまま、破壊されていない状態で抽出されたコラーゲンです。
 
それは摂取した後に、一部が分解されない状態のまま小腸まで届き、
腸内で有益な物質と判断されるためそこも分解されずに吸収されていきます。
 
このように本来分解されるべきものが、分子量の大きなまま分解されずに吸収されるものを、
『経口免疫寛容(けいこうめんえきかんよう)』と呼びます。
 
体内では大きな分子量のものは異物と判断してしまうため、
最小単位まで分解されて体にとって安心な状態にしてから吸収されます。
 
タンパク質がアミノ酸に分解されるのは、まさにその現象といえます。
 
しかし、体にとって有益であると判断される特殊な物質に関しては、
アミノ酸にまで分解されることなく体は拒絶反応をすることなく取り入れるのです。
 
こういった物質は小腸にあるパイエル板というリンパ節で認識され、
体内の免疫システムに働きかけるような役割をしていきます。
 
非変性Ⅱ型コラーゲンの場合も、
この経口免疫寛容が誘導されてシグナルペプチドとしての役割が期待されます。
 
つまり、コラーゲンの材料を取り入れるという栄養学的な目的以上に、
免疫システムに働きかけて関節内で暴走しているタンパク質分解酵素を落ちつかせ、
破壊と再生のバランスを調整してくれるという機能的な役割と言えます。
 
このように栄養学的な観点からのサプリメントの活用だけでなく、
機能的な観点からの活用を関節の再生に関しても対応してみる価値はありそうです。

 


『コンディショニングガイド』
15年以上、サプリメントを作って、使って、指導してきた、
サプリメント活用のプロが責任編集

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