第32回 関節の話

2018年4月19日

 

関節はコラーゲンとプロテオグリカンというアミノ糖で出来ていますから、
その材料を適宜補充していく必要があります。
 
もちろん若い頃はコラーゲンもプロテオグリカンも体内でどんどんと合成されていきますので、
破壊と再生のバランスがしっかりととれていて問題ありません。
しかし、加齢と共にこのバランスが崩れてしまい、やがて痛みを伴うまでになってしまうのです。
 
その関節の主成分は、コラーゲンペプチドとグルコサミンと言えます。
 
グルコサミンが基礎の材料となって、
プロテオグリカンの成分であるヒアルロン酸やコンドロイチンが作られていきますから、
やはりグルコサミンは外せない材料と言えます。
 
人を使った試験も多数行われていてその信憑性も高い成分です。
一日の有効推量量は1,500mgなので、日々この量を摂取するようにします。
 
ちなみに現在では、グルコサミンの代謝物であるN-アセチルグルコサミンも食品として使うことが出来るので、
N-アセチルグルコサミンの摂取も効果的です。
 
この場合は、一日の有効推奨量が500mgですので、より少ない量で効果があります。
またコラーゲンに関しては、一日の有効推奨量は3,000mgなので、
関節軟骨の材料としてこの二つを摂取するといいでしょう。
 
他にコンドロイチンや、コラーゲンの生成の役立つビタミンCなども補助素材としては効果的です。  
このように関節の成分を補充するということはとても大切ですが、
痛みをすぐに取るということはなかなかうまくいきません。
 
そもそも関節軟骨の破壊に再生が追いつかなくなる原因については、
いまだ幾つかの仮説があって、絶対的な原因は解明されていません。
 
1.軟骨組織に異変がおきて、軟骨内の成分バランスが崩れてしまった。
2.軟骨内にある古くなったコラーゲンやプロテオグリカンを分解する酵素が暴走し始めた。
3.軟骨下骨の損傷があると、その損傷を埋め合わせるために骨成分が生成され、それが凹凸となって損傷につながる。
4.骨の疾患。
5.肝機能の問題。
 
などが主な仮説です。
 
そこで関節軟骨の成分とは別に、炎症自体を抑える成分にも注目がいきます。
代表的なものでいえばMSMや免疫ミルクなどで、関節系のサプリメントに配合されていたりもします。
 
そんな中、私が今注目している素材が、『非変性Ⅱ型コラーゲン』です。
 
これは単に関節軟骨の材料として効果があるのではなく、
ある種の?シグナルペプチド?として関節軟骨の破壊を止める役割が期待されているのです。
 
コラーゲンには20種類ほどのタイプがあって、
有名なのがⅠ型と呼ばれる皮膚のコラーゲンとⅡ型と呼ばれる軟骨からのコラーゲンです。
よく店頭でもⅡ型コラーゲンとして売られているサプリメントがあります。
 
確かに同じコラーゲンでも、そのアミノ酸組成には違いがあって、
関節軟骨の材料とするのであればⅡ型コラーゲンの方がよりその組成が近いという点は理解できます。
 
しかし、Ⅰ型であってもⅡ型であっても、
基本的には一旦はアミノ酸にまで分解されてから吸収されていきますので、
実はそれほど大きな差が生まれてこないのです。
 
私たちの体は約60%が水分で、15〜20%がタンパク質です。
つまり水分を除けば、体の半分近くはタンパク質で出来ています。
そのタンパク質の中の約30%がコラーゲンで、皮膚に40%、骨に20%ほどの配分となります。
 
それほどコラーゲンというタンパク質は体の中でたくさん利用されているのですが、
そのコラーゲンはアミノ酸組成が極端なタンパク質でして、
グリシンだけでその1/3を占めていて、プロリン(ヒドロキシプロリン)、アラニンで1/3を占めていますから、
全体の2/3を3(4)種類のアミノ酸で構成しています。
 
つまり、アミノ酸組成としては至ってバランスのよくないタンパク質なのです。
 
非変性Ⅱ型コラーゲンとは、その名称の通りⅡ型コラーゲンではあるものの、
体内にある構造とほぼ同じ状態のまま、破壊されていない状態で抽出されたコラーゲンです。
 
それは摂取した後に、一部が分解されない状態のまま小腸まで届き、
腸内で有益な物質と判断されるためそこも分解されずに吸収されていきます。
 
このように本来分解されるべきものが、分子量の大きなまま分解されずに吸収されるものを、
『経口免疫寛容(けいこうめんえきかんよう)』と呼びます。
 
体内では大きな分子量のものは異物と判断してしまうため、
最小単位まで分解されて体にとって安心な状態にしてから吸収されます。
 
タンパク質がアミノ酸に分解されるのは、まさにその現象といえます。
 
しかし、体にとって有益であると判断される特殊な物質に関しては、
アミノ酸にまで分解されることなく体は拒絶反応をすることなく取り入れるのです。
 
こういった物質は小腸にあるパイエル板というリンパ節で認識され、
体内の免疫システムに働きかけるような役割をしていきます。
 
非変性Ⅱ型コラーゲンの場合も、
この経口免疫寛容が誘導されてシグナルペプチドとしての役割が期待されます。
 
つまり、コラーゲンの材料を取り入れるという栄養学的な目的以上に、
免疫システムに働きかけて関節内で暴走しているタンパク質分解酵素を落ちつかせ、
破壊と再生のバランスを調整してくれるという機能的な役割と言えます。
 
このように栄養学的な観点からのサプリメントの活用だけでなく、
機能的な観点からの活用を関節の再生に関しても対応してみる価値はありそうです。

 


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第31回 摂取量の話

2018年4月5日

 
プロテインはじめサプリメントや食事の摂取量については皆さん関心も高く、実際質問も多いです。
 
「プロテインであれば、体重1㎏に対して2gの量を一日トータル量として考えましょう」これはある程度しっかりとトレーニングをしている人への回答例です。
 
もちろん間違いではありませんし、トレーニングや栄養関連の書籍にもほぼ同様の事が記述されています。
 
しかしこれはプロテインの摂取量ではありません。一日トータルのタンパク質の摂取推量量ですから、ここから食事によるタンパク質摂取量を引いた残りがプロテインとして摂取する量ということになります。
 
ところがよほど食事管理をしていない限り、三度の食事のタンパク質摂取量などは分からないのが通常です。
 
日によって食べる量も内容も変わるでしょう。
 
更に言えば、その時の胃腸のコンディションも正味の摂取量には影響してきます。
 
下痢をしている時や食欲がない時は、同じ量を食べたとしても取り込める量は変わってきます。
 
そしてとどめを刺すようですが、プロテインのタンパク質含有量まで考慮しているか否かです。
 
飲んでいるプロテインの含有量が95%なのか、90%なのか、はたまた60%程度なのかによって、その摂取しなくてはならないプロテイン(サプリメント)の量は大きく変わってきます。
 
このようにプロテイン一つをとっても正確な摂取量というものにあまりこだわりすぎると、本末転倒な側面がでてきてしまいます。
 
もちろん目安としての量は大切です。闇雲に摂取を勧めているわけではありません。
 
私が知っている多くのトップビルダーは、意外にも食事の質にはこだわるものの、摂取量へのこだわりをもっていません。ザクッと○○gくらい。といった感覚で食べています。
 
これは長年の経験からくる体感なのかもしれませんが、極端な正確さを求めてもあまり意味がないことを知っているのでしょう。
 
木を見て森を見ずという言葉の通り、細かい点にこだわりすぎて本質を見失いがちになるのが摂取量かもしれません。
 
ただし、抑えるという点に関してはこだわりをもつのは正しいと思います。
 
脂質を抑えるという場合は、どれだけ脂質が含まれているのかなどをある程度気にする食べ方をしてみてください。
 
そして中にはグルコサミンやn-3系の脂質のように、大量に摂取する必要のない素材や研究が進んでいる分野の素材に関しては、サプリメントの摂取量を意識した方がいいものもあります。
 
グルコサミンであれば、一日の推奨摂取量は1.5gとなりますし、DHAやEPAなどのn-3系の脂質であれば2gほどは摂取したいものです

 


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第30回 亜鉛の話

2018年3月15日

 

男性ホルモンを増やす方法はあるのか?との質問を受けることがあります。
 
筋肉を増やすうえで男性ホルモンは重要な役割を担いますから、この関心はごもっともであると思います。
 
極端な場合は薬を使って増やしてしまうという手段もあるのですが、当然競技者にとってはドーピング違反となりますし、ある種の医療行為となるために専門家(医師)の指導管理のもとでなければ副作用が特に心配です。
 
では一般の食品(サプリメント含む)で男性ホルモンは増やすことができるのでしょうか。
 
答えはyes!であります。
 
具体的には亜鉛がその筆頭といってもいいでしょう。
 
ただし、その前提として、適度な運動、最低限の睡眠の確保、節度のある飲酒、バランスのいい食事の4項目が揃っている必要があります。
 
どれもライフスタイルそのものですので、まずはライフスタイルを最低限整えるということが大切です。ここを無視してどれだけ高価なサプリメントを摂取したところで、ほぼ無駄に終わってしまいます。
 
亜鉛は牡蠣、ウナギ、チーズ、レバー、大豆などに豊富に含まれていますが、特に牡蠣は亜鉛リッチな食材で、約2粒で16㎎と一日に必要量がまかなえます。
 
過剰摂取を心配する人もいますが、亜鉛は日本人が日常の食事で不足気味のミネラルであり、また仮に過剰摂取した際の副作用も小さいため、ほとんど気にする必要はないでしょう。
 
食事でのオンが難しい時はサプリメントを利用するのも手軽です。
 
私が手掛けた商品でいえば、「エキストラ・アミノアシッド」や「エキストラサバイブ」に配合してあります。
 
もうひとつ、以前にもこのメルマガでご紹介したことのある「アリシン」という栄養素も男性ホルモンを増やしてくれます。
 
アリシンはニンニク、玉ねぎ、ネギ、ニラ、生姜などに含まれています。どれも野菜に属しますが、俗に言う草食系とはちょっと一線を画したパワーを感じさせるアイテムばかりです。実は「エキストラサバイブ」には発酵黒ニンニクも配合させていますが、これもアリシンの効果を狙ったものです。アリシンは含流アミノ酸とよばれる、分子内に硫黄(S)を含んだアミノ酸から作られるのですが、この含流アミノ酸の硫黄のニオイがニンニクなどの独特にニオイの元でもあります。ビタミンB群特にビタミンB1との相性が抜群によく、アリチアミンという更に強力な栄養素へと変化していきます。アリチアミンは糖の分解や吸収に効果のある栄養素なので、男性ホルモン以外への効果も期待できます。
 
最後に飲酒についてですが、私も日々の晩酌派なので少々耳が痛い話になります。
 
ビールを含めアルコール自体には男性ホルモンを増やす要素はありません。逆に男性ホルモンは抑えられてしまう傾向にあるようです。
 
同様に睡眠も5時間を切ると一般的には男性ホルモンは減ってくるようです。もちろん時間だけではなりませんが、やはり6時間くらいは確保しておいた方が無難でしょう。
 
もしかすると飲酒と睡眠の質とは因果関係がありますから、深酒=睡眠の質の低下といった流れで男性ホルモンが抑制されているのかもしれません。

 


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第29回 ロイシンの話

2018年3月1日

 

ロイシン。
 
サプリメントに多少詳しい人であれば、ロイシンがBCAAの一つであることは知っているでしょう。
 
そしてBCAAは筋肉の材料となるわけですが、その中心的な役割はロイシンが担っています。
 
市販のBCAAのサプリメントを手にとってみるとよく分かりますが、大概はロイシンの比率が一番高くなっているはずです。
(一般的には、バリン:ロイシン:イソロイシン=1:2:1もしくは2:3:2が主流)
 
そして最近では更にロイシンの持つ可能性が大きくなってきたとして、ロイシンを単独で配合するサプリメントも目にするようになりました。
 
ただ、必須アミノ酸のバランスが大切なように、多少比率は崩れてもBCAAとしての効果を期待するのであれば、やはりバリンとイソロイシンも必要な気がしています。
 
ロイシンだけを大量に摂取すると、他のアミノ酸が実際は必要量あるにもかかわらず足りないような反応を起こしてしまうからです。
 
アミノ酸のインバランスです。
 
体内ではBCAAはバリンが一番比率的に多いのですが、ロイシンはタンパク質合成を活性化させるレギュレータの役割を果たすことが明らかになっています。
 
つまり単なる筋肉の材料ではなく、筋肉を増やそうとする指令役となっているのです。
 
そんな事情からもロイシンへの期待感がグッと増しています。
 
しかしロイシンの約5%しかHMβは変換されず、結局はHMβが筋肉を増やす指令役となるわけですから、BCAAとHMβの併用といった使い方が筋肉を増やすという点では効果的かもしれません。

 


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第28回 アミノ酸プールの話

2018年2月15日

 

アミノ酸プールという言葉がありますが、アミノ酸は溜めておくことのできない栄養素です。だから逆にプールという言葉が使われているのかもしれませんが、体内では血液中に遊離アミノ酸として存在するもの、細胞質や細胞間質に遊離アミノ酸として存在するもの、そして筋肉をはじめとする組織の中に存在するものと大きく3パターン存在します。
 
これら全体を指してアミノ酸プールと呼ぶのですが、そのアミノ酸プールのほとんどは組織の中のタンパク質にあります。
 
そしてしっかりとバランスを維持しています。
 
このバランスが崩れると様々な弊害が生じてきますし、それはトレーニングや減量といった前向きなものによっても同様です。
 
例えば減量によって絶食をした場合、それがある一定の限度を超えてくると、筋肉からはアラニンとグルタミンというアミノ酸が放出されてきます。
 
グルタミンは小腸でのエネルギー源として使われ、これを栄養素としてアラニンを放出していきます。このアラニンが肝臓に取り込まれエネルギーとして合成されていきます。
 
元々体の材料であったアラニン(アミノ酸)が、最終的には糖を合成する原料となるのです。アラニンを糖原生アミノ酸と呼んでいます。このメカニズムをアラニン・グルコースサイクルと言いますが、本来であれば体の材料の一部であるはずのアミノ酸をエネルギーとして使うのは決して効率のいい話ではありません。
 
減量時においても、小まめに少量の糖質を補給することで筋肉への負担が軽減されるということになります。これはトレーニング中においてもあてはまりますので、トレ前やトレ直後の糖質補給は重要となります。

 


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第27回 アミノ酸の話

2018年2月1日

 

今回は、もう一度アミノ酸とは何かについて触れてみたいと思います。
 
人体の重さの約20%はタンパク質です。
 
水分を除いた場合に関しては、その約75%がタンパク質ですので、体はタンパク質で構成されているといっても過言ではありません。
 
逆から言えば、タンパク質が体の材料ということも言えます。
 
筋肉はもとより、血液も血管もホルモンもタンパク質ということになりますから、タンパク質の機能や性質は多種多様であります。
 
この多種多様なタンパク質は構造的にはある一定のルールで組み立てらえているのです。
 
そのルールがアミノ酸ということになります。
 
つまりアミノ酸がある一定のルールに則ってチェーンのように繋がって、様々なタンパク質を作っているのです。
 
別の角度からタンパク質を説明すると、アミノ酸はアミノ基(-NH2)とカルボキシル基(-COOH)をあわせもった炭素化合物のことで、わかっているだけで500種類ほどあると言われています。
 
炭素(C)は4つ手をもっていて、いつも4人の相手と手をつないでいます。一般的にいわれているアミノ酸はそのうちの3つが共通していて、残りの一つが別の相手と手をつないでいます。このパターンをαアミノ酸と呼び、約20種類存在し、この20種類のアミノ酸の組み合わせによって、先ほどの多種多様なタンパク質が作られているのです。
 
そしてこのうちの9種類のアミノ酸が体内で合成することが出来ないため、必須アミノ酸と呼ばれ、サプリメントなどでも人気の高いものとなっているのです。

 


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第26回 アミノ酸のD体L体の話

2018年1月18日

 

今回はアミノ酸のD体L体についてです。
 
実はアミノ酸にはD体と呼ばれるものとL体と呼ばれるものが存在します。
 
例えば通常私たちがグルタミンと呼んでいるアミノ酸は、L体のグルタミンです。体内で利用されるアミノ酸は基本L体のみなので、表示上もDとかLを省略して、そのままアミノ酸名を書いてあるケースもあります。
 
実際D体のアミノ酸は食品として認められていないものが多いため、サプリメントとしては使いたくても使えないですし、体内で利用されないため、使う意味もありません。
 
唯一の例外はグリシンで、4つの手をもつ炭素原子のうち2つの手を水素(H)と繋がっているためD体とL体の区別がありません。
 
しかしそれ以外のアミノ酸には鏡に映ったもう一つの自分のように、もう一つのアミノ酸が存在します。
 
そんな利用価値の無いとされてきたD体のアミノ酸ではありますが、最近少しニュアンスに変化が見られます。
 
元々世の中に存在していて価値のない物はないはずだとの理由から研究が続けられ、一部のD体のアミノ酸には肌の活性化やホルモンの活性化などの役割があることが分かってきました。
 
またD体をL体にする酵素も存在し、アラニンというアミノ酸の場合はD-アラニンがL-アラニンへと変換されたりします(その逆もあります)。
 
アラニンはブドウ糖がなくなってきたときに、一時的にブドウ糖を補助するためにアミノ酸であるにもかかわらずブドウ糖へと変換してくれるアミノ酸です。
 
通常アラニンはDLアラニンというD体とL体の混合物が食品として扱えるアミノ酸でありますが、このD-アラニンも体内で酵素(アラニンラセマーゼ)によってL-アラニンへと変換されるようです。
 
まだまだ奥が深いアミノ酸の世界であり、人体の世界であります。

 


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第25回 トリプトファンの話

2018年1月4日

 

 
必須アミノ酸は全部で9種類あり、この9種類はすべて必要でありますから、何か一つでも欠けていた場合には、体タンパクの材料としては理論的には意味をもたなくなってしまいます。
にもかかわらず、特に海外製品の総合アミノ酸などではトリプトファンが配合されていないものをよく見かけます。何故、必要な事が分かっているのに配合されていないのか?その前にトリプトファンとはどんなアミノ酸なのか?
 
今回はトリプトファンについて詳しく解説します。

 
トリプトファンは分子式にベンゼン環を持つ芳香族アミノ酸で、牛乳から発見されました。一般の食材としては、牛乳以外にも肉・魚などのタンパク源はもちろん、アーモンドなどのナッツ類、納豆、豆乳、バナナなどにも含まれているといわれています。
 
トリプトファンは、脳内神経伝達物質であり精神安定剤として利用されているセロトニンや、規則的な睡眠のリズムを整えるホルモンであるメラトニンをつくる材料となることから、睡眠を助けるアミノ酸としても知られています。このうちのメラトニンは生体リズムの調節をおこなうホルモンで、メラトニンの血中濃度と睡眠は深く関係があります。またセロトニンは神経間のシナプスからシナプスへと情報伝達をおこなう物質です。このセロトニンという物質は、心がほっと落ち着いた時に分泌されるホルモンで、興奮した時に分泌されるアドレナリンの量を減らします。そのため、強まった興奮にブレーキをかける役割があります。セロトニンが減少し、興奮や気持ちの高ぶり、不安を和らげることができなくなった状態が抑うつ状態ですので、セロトニンの量を増やして代謝を遅らせることによって、一部ではうつ病の治療薬としても使われています。
 
その一方で、セロトニンは長時間の仕事や運動を行っていると生成されて脳内の濃度が高まることから中枢疲労と関連があると言われています。そして、疲労の軽減や集中力の維持にはBCAAが必要であるといわれます。
 
トリプトファンを脳内に輸送する場合には脳血液関門を通らないといけないのですが、BCAAもこの同じアミノ酸輸送体を介して取り込まれるため、これらのアミノ酸は脳内取り込みに際しては競合関係にあります。つまりトリプトファンとBCAAのどちらかを多く運べばもう片方を運ぶ量は少なくなるというわけです。そのため総合アミノ酸から集中力を維持するためにセロトニンに変換されるトリプトファンを抜いたという説明を受けることがあります。
 
しかしながら、トリプトファンがサプリメントに入っていないもうひとつの理由は、外国ではトリプトファンの添加が認められていない時期があったのです。これには1980年代後半に起こったに「トリプトファン事件」と呼ばれる出来事が原因となっています。上記のような睡眠導入の作用から、1980年代のはじめにアメリカでトリプトファンを含んだ健康食品が爆発的に売れました。しかし、80年代後半にある健康食品を摂取した人について血液中の好酸球の急激な増加と激しい筋肉痛を伴う症状があらわれ、最終的には38人の死者と6000人近くの患者を出す健康被害事件が発生しました。それらの健康食品にはある原料メーカーが製造したトリプトファンが使われていたことが分かり、大きな訴訟にまで発展しました。この原因としてはトリプトファンの製造を菌からの発酵法で行っていたのですが、生産効率を上げるために遺伝子組み換えを行った菌を使用したことで不純物の毒素が混じったということでした。ただ、この事件をきっかけにトリプトファン自体のもつイメージは大きく下がりました。アメリカでは法律によってサプリメントにトリプトファンを入れることができなくなりました。(現在では「栄養添加物」という区分けで添加が認められています。)そんな経緯もあり、海外製のアミノ酸サプリメントにはトリプトファンが入っていないことが多いのです。そして、メーカーによるトリプトファンが入っていない説明として、上記のようにセロトニン合成の原因となりリラックス効果があるためスポーツには適さないアミノ酸であったり、BCAAの吸収を阻害するため筋肉に良くないなどといった言葉がつけられていると考えます。

 


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第24回 CCDドリンクの話

2017年12月21日

 

私はCCDドリンクという粉末の飲料を作りましたが、これはトレーニング中にいかにたくさんのエネルギーを補給出来るか、というテーマを念頭に開発したものです。
 
これまでトレーニング中は、水分補給はできるものの、エネルギー補給はやりにくい状況にありました。主な理由として、通常、エネルギーは固形物が多いので、そもそもトレーニングをしながら補給できるものではなかったことや、仮に液状やドリンクの形態であったとしても、エネルギーを入れれば入れるほど液体は浸透圧が高くなり、結局お腹に溜まる状態になってしまうこと、などが挙げられるかと思います。
 
そんな課題を克服したのがCCDドリンクでした。
 
トレーニング中は、エネルギーを大量消費しますので、重要なエネルギー摂取タイミングです。
 
これは、バルクアップを目指す人はもとより、減量中やダイエット中の人にも当てはまります。
 
市販のスポーツドリンクはエネルギーが多く含まれているので、あえてカロリーオフやゼロカロリーを選ばないようにします。ただし、一般的なスポーツドリンクは浸透圧が高めなので、お腹に溜まりやすくなりますので、少し水で薄めて飲むようにするといいでしょう。
 
同じエネルギーでも、摂取のタイミングによって吉とも凶ともなるわけです。

 


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第23回 BCAAの話

2017年12月7日

 

BCAAはバリン・ロイシン・イソロイシンという3つのアミノ酸(必須アミノ酸)の総称なのですが、この3つが全部揃うことで価値をもつアミノ酸でもあります。

 
特に筋肉の材料として様々な効果を発揮するのはロイシンなのですが、ロイシン単独では不思議とうまく機能してくれません。
 
私はセミナーなどではこの3つのアミノ酸を水戸黄門に例えたりしています。主役は黄門さまで、タイトルも最後の締めも必ず黄門さまですが、そこには助さんと格さんという2大脇役がいなくては番組自体が成り立ちません。
 
まさにロイシンがしっかりと筋肉に作用するために、バリンとイソロイシンがしっかりサポートしているようなイメージです。
 
BCAAは血液中でトリプトファンというアミノ酸と拮抗しています。つまりバランスを取り合っています。運動やトレーニングをすると、筋肉をどんどんと使うために血中のBCAAが消耗されてきます。結果として血中でのトリプトファンとのバランスが崩れ、トリプトファンが優位な状態になります。トリプトファンも必須アミノ酸で、睡眠やリラックスするために重要な役割をもちますが、これは脳内でセロトニンの材料として使われるためであります。BCAAが消耗されてトリプトファンが優位になると、相対的に余剰となったトリプトファンがセロトニンに変換されてしまい、場合によっては集中力が途切れてしまうことになります。
 
BCAAを摂取すると集中力がアップするといわれる理由はここにあります。
 
筋肉の材料として利用されるBCAAですが、一方で筋肉をどれだけ使ったかの指標にもなっているわけです。
 
ハードなトレーニングや長時間の運動の前や最中にBCAAを飲んで、集中力を途切らせない工夫をしてみてください。

 


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